オンライン学習コミュニティの作り方(コンセプト編)

面白い講義動画を作る その3

 

暗黙知を映像化するには

社内や自分で内輪向けの教材映像を作る際に注意したいのが「暗黙知」の表現の仕方です。
 
セミナー講師や講演会慣れしている出演者であれば、パソコン付属のカメラで動画を撮影しても、それなりに面白い講義映像を作ることができます。
 
ところが、たたき上げのカリスマ職人やスーパーエンジニアが、必ずしもカメラの前でしゃべって面白い映像になるとは限りません。
 
どちらかといえば、朴訥(ぼくとつ)として味わいがあるような人の場合、その良さがなかなかなか映像で伝わらないのです。
 
そこで「NHKプロフェッショナル」や「情熱大陸」のような優れたドキュメンタリー番組では、現場に一定期間密着して、その日常から暗黙知に当たる部分を拾い、編集でエッセンスをあぶり出すという根気のいる作業を行っています。
 
ただ教材作成にそこまで時間とコストをかけるのは難しいのも実際です。
 
そんな時に使えるひとつの手は「インタビュー形式」にすることです。
 
例えば、画面に映らない形でインタビュアーが講師に向かって質問し、その質問に答えているシーンだけをつなげば、画面に向かって講師が淡々と語っている映像よりは、よほど面白いものができます。
 
また講師とインタビュアーが隣同士で座り、画面に向かってしゃべる「スタジオトーク」フォーマットも、講師の暗黙知を効率よく引き出し、面白い映像にする手法としては優れています。
 
その他、聴衆の前で喋っている映像をそのまま教材コンテンツとして使うのも、臨場感を伝える方法としては優れています。もちろん専用スタジオでの撮影に比べて、スライドが見にくかったりするので、編集的な工夫は必要です。
 
 大手予備校では、教室でのカリスマ講師の映像を撮影する際に、前列2列目までの受講生の後頭部がわざと映るようにアングルを取っていますが、これらも映像を見ている人に臨場感を感じてもらうための重要なテクニックです。
 
 


「コンテンツ(映像)」から「コミュニティ」へ(2つの提供価値)

 
Eラーニングを作る際、すべてのコンテンツ(映像や文章)を内製しようとするのではなく、外部のコンテンツを利用するのも有効な手段です。
 
例えば、TEDやYouTubeには著作権フリーにもかかわらず、著名な経営者や大学教授の講義、ドキュメンタリー映像など、ハイクオリティな無料コンテンツがゴロゴロしています。
 
最近は、各放送局が独自に地上波放送後に動画配信(有料/無料)をしていることも多く、こちらを利用することも考えられます。
 
以前は、これらの映像(動画)を買って利用するにはかなりのコストがかかりましたが、徐々に
 
「ビデオ1本売っていくら」
 
というビジネスモデルは崩壊しつつあり、実際に低価格からフリーミアムの時代に急激にシフトしています。
 
筆者も長らく著名人の講義動画販売ビジネスの世界にいましたが、これだけ無料の優良コンテンツが溢れている時代に、コンテンツ販売で儲け続けるハードルは年々高くなっています。(もちろん「限定動画」など、売り方の工夫はできますが。)
 
では、これから何が重要になるといえば「コミュニティ」です。
 
例えば、著名な講師であれば
 
「講義動画」
 
自体を売るのではなく、その動画をベースに講師をはじめ、会員同士が集まれる「コミュニティ」を価値として訴求できます。
 
このコミュティの価値の中心を形成するものは、

「Peer Pressure」 (「見られている」という仲間からの健全なプレッシャー)
「Cross Fertilization」(教えあい、学び合い)

 
の2つです。コミュニティを通じて、これら2つの価値を提供できれば、料金は単なる
 
「コンテンツ購入費用」
 
ではなく、
 
「学習コミュニティを通じて得られる”上質な体験(Experience)”」
 
になり、極めて満足度の高い支払いとなるのです。
 
時代は確実に「コンテンツ」から「コンテンツ×コミュニティ」の時代にシフトしつつあるのです。
 


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