はじめに

オンラインコミュニティが年々盛り上がりを見せています。筆者は2001年よりEラーニングの世界に関わり、海外大学院と社会人向けオンラインビジネススクール(経営大学院)の立ち上げを担当し、その運営責任者を務めてきました。
 
「E-ラーニング」といえば、講義ビデオやスライドを見ながら、クイズ形式で回答していく単調なものを想像する方も多いかもしれませんが、私のチームが作り上げてきたのは、講師や参加者がお互いにディスカションや対話を通じて学び合う、まさに
 
「オンラインコミュニティ型」
 
の学習スタイルでした。
 
参加者がお互いに切磋琢磨しながら成長していくオンラインコミュニティは、多くのメリットがあります。
 

-提供コンテンツをベースに、参加者間で深い対話が生まれる(満足度アップ)
-参加者間で一体感が生まれる(退会率の低下に貢献する)
-「フロー型モデル」から「ストック型モデル」に移行できる
 (毎回イチから集客するセミナーモデルは「焼畑農業」的に顧客を刈り取ってしまい、先細るリスクが高い。広告宣伝費もそれなりにかかる。)
ー主催者も、参加者の生の声が聞ける(&対話できる)ので面白い。

 
逆に、対話が生まれる分だけ、それをうまくファシテートする技術や、参加者自身にも、自身への反論を冷静に受け止めたり、対立を乗り越えて新しいアイデアを生み出していくスキルが求められます
 
このコラムでは、年々注目度が高まっているオンラインコミュニティをうまく軌道に乗せるためのコツについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
 


盛り上がらないのはユーザーのせいではない

どこでも高速でつながるネット環境、タブレットやスマホなどの登場、動画配信環境の整備よって、年々Eラーニングを導入するハードルが下がっています。
 
最近では、
 
「集まれないから仕方なくEラーニングを実施する」
「コスト削減のために導入する」
 
といった消極的な理由ではなく、
 
「学習者の状況を正しくトラッキングできるからあえてEラーニングでやる」
「集合研修ではできない一人ひとりのレベルに合わせた学習機会を提供する」
 
といった積極的な理由からEラーニングが選ばれるようになっています。
 
ただ、現場レベルでは
 
「Eラーニングって受講生のモチベーションが上がらないんだよね」
「やっぱり対面にはかなわないよ」 
 
といった声が根強くあるのも確かです。
 
筆者は長年、Eラーニングの設計・運用に従事してきましたが、実際の運用現場では、教科書には載っていない様々な問題が起こります。
 
それらの原因を一つひとつ調べ、対策案を考え、そして実行して結果を測定し、さらなる改善を図ります。このような仮説検証プロセスを繰り返し、うまくいった方法を「標準化」していきます。
 
そして、そこを土台にして新たな挑戦を行い、さらに磨きをかけていくのです。
 
そんなEラーニングの現場で、課題として最も挙げられるのが、
 
「完了率の低さ」
 
です。学習者が途中でドロップアウト(脱落)してしまう理由を
 
「やる気がないのが悪い」
「ちゃんと修了した人もいるんだから脱落者に根性がなかっただけ」
「そもそもEラーニングってそんなものなんだ」
 
などと言い訳してしまったら、その時点でプロとして失格です。
 
実際、筆者自身も昔からいろいろな”通信教材”にトライしては挫折してしまった苦い経験がありますし、始まった瞬間に眠たくなるEラーニング教材が多数あるのもよく知っています。
 
したがって
 
「脱落の原因は参加者だけにあるのではない」
 
と断言できます。
  
「参加者が途中で脱落してしまったのであれば、すべて運営側の責任だ。」
 
少なくとも、それぐらいの真摯さと気構えで真因を突き止め、責任を持って問題を解決する必要があります。(多くの場合は学習システムのデザイン(Instructional Design)に改善の余地があるのです。)
 


とりあえずの解決手段

 
たとえば、
 
「脱落しそうな人に、定期的に応援メールを送る」
「電話をかけて励ます」
 
という「チアリング(Cheering)」(まさに英語の”応援”です)の手法には一定の効果があります。Eラーニングは、物理的にどこかの指定された場所に決められた時間に集まる訳ではないので、こういう
 
「受講を思い出してもらう(リマインドする)」
 
というやり方は一定レベルで確かに有効です。
 
ただ、もし「友人と1930に会う」「知り合いが日曜のテレビ番組に出ている」としたら、いちいちリマインドされなくても覚えているはずです。
 
ということは、メールや電話で受講を促すというのも、根本的な解決策ではありません。(もちろんカレンダー機能を実装して、リマインドのメールや通知が飛んでくるようにできれば便利ではありますが。)
 
実際に受講がストップしている人にお電話をかけて理由をお聞きすると、その答えは99%決まっています。
 
「忙しいから」
 
です。もちろんそれは100%本当です。みんな忙しいのです。
 
ただ、そこで諦めず「なぜ忙しくて学習できないか」をさらに聞いていくと、
 
「サイトにアクセスする心理的ハードルが高い」
「要求される学習量が多すぎる(理解に時間がかかる)」
「内容が役に立つとは思えない」
 
などいろいろな理由が見えてきます。
 
要は、他のものが優先されているのです。
 
ではどうすれば
 
「やればやるほど、時間を忘れて思わずのめり込んでしまう」
「次回の講義が待ち遠しい」
 
と思ってもらえるようなEラーニング、そしてオンラインコミュニティが作れるのか?
その具体的方法を見ていきましょう。


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